家事・育児時間はどう推移してきた?男女共同参画白書を読み解いてみよう

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近年、仕事に関するワーク・ライフ・バランスの見直しが進んでいます。
さらに、女性の社会進出を促す目的で、家の中の家事・育児・介護についての
ワーク・ライフ・バランスも考えようという動きが進みつつあります。

これに関連して、内閣府の調査で1976年から2016年までの「家事・育児・介護」と
「仕事」の時間の推移をまとめた報告書が発表されています。
共働き世帯は増えたものの、男性の仕事時間に変化はなく、
女性は正社員ではなくパートに雇用体系を変化させて、
家の中の仕事をこなしているのが現実のようです。

●女性の社会進出について調べた内閣府の調査結果

>家事・育児・介護」と「仕事」のバランスについての特集

令和2年7月「男女共同参画社会の形成」を目指して
内閣府が「男女共同参画白書」をまとめています。
(出典:https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/index.html)

この報告書は、1976年から2016年までの「家事・育児・介護」と「仕事」の時間の推移を
男女別、家族の形別にまとめたものです。
これによると、ワーク・ライフ・バランスは「仕事」だけではなく
女性が多くを担っている「家事・育児・介護」の影響も考えるべきとされ、
男性も家の中の仕事を自発的にこなす必要があるとされています。

>女性が家庭内の仕事を多く担う現状

・女性の未婚化・晩婚化により、「家事・育児・介護」の時間は減少している。
(特に25~29歳の女)
ただし、結婚している女性では横ばいもしくは増加傾向。

・6歳未満の子供を持つ夫婦では、妻の「家事・育児・介護」時間は
共働きでも専業でも増加傾向。
・共働き世帯の仕事時間は夫の半分(共働きが増えたが主にパートが多い)。
・家事時間は女性が男性の2倍以上。
・仕事時間は男性が女性の1.3倍。
・育児時間は共働き世帯で女性が男性の2.1~2.7倍(ともに仕事がある日)

●家事・育児・介護時間の推移

>女性は?

晩婚・未婚化に伴い、女性が20~29歳の間に家事・育児・介護に割く時間は
大幅に低下しています。なお、30代はもっともこれらに割く時間が長くなっており、
40代はやや減少傾向ぎみの横ばいです(4~5時間)。
また、平均寿命が延びたためか、65歳以上は増加傾向にあります。

>男性は?

男性は全年齢で家事・育児・介護に割く時間が増加傾向にあります。
とはいえ、2016年でも女性の2割に留まっています(女性208分、男性44分)。

●仕事時間の推移

>>女性は?

25~29歳の女性の仕事時間は1.7倍に増加しています(3時間20分→5時間40分)。
同年代の男性の仕事時間と比べると、1976年には41.5%だったものが71.9%に
増えたということです。また、2001年以降は30代女性も増加傾向です。
ただし、30・40代女性は男性の40~50%の仕事時間に留まっています。

>>男性は?

全体的な仕事時間は減少傾向にあります。
それでも、働き盛りの30・40代は8時間20分前後で、
1976年~2016年までほとんど変化がありません。

●未就学児がいる場合の家事育児は?

こちらは2006年から2016年の調査結果です。
家事・育児・介護の時間は、共働きでも専業主婦世帯でも増加傾向にあります。
共働き世帯の妻の仕事時間は夫の半分程度ですが(夫は8時間40分~9時間前後)、
夫は妻が共働きであっても家事・育児・介護にかける時間は60~80分前後で変化がありません。
妻が専業でも共働きでも、家のことは任せっきりという状況にあまり変化はないようです。
なお、仕事がない日は3時間20分ほど分担しているようです(2019年)。

●妻の就業形態はどう変化した?

1980年時点では、共働き世帯は専業主婦世帯の半分程度でした。
これが1997年に逆転すると、一気に差が拡大し、2019年には共働き世帯が
専業主婦世帯の2.1倍になっています。
なお、共働き世帯のうち、1985年から1997年ごろまでは妻がフルタイムという家庭が
多かったのですが、1999年にはパートの割合が多くなっており、
2019年時点ではフルタイムの1.3倍になっています。

●介護の現実はどうなっている?

平均寿命が長くなっていることから、介護を必要とする人は増加傾向にあります。
(2021年時点:女性87.74歳、男性81.64歳)
また、1998年当時は、嫁が義実家の両親を介護するパターンが多かったのですが、
2016年には以下のように介護の状況が変化してきています。

・現在は夫婦がそれぞれ自分たちの親を介護する傾向にある
・未婚男性が親を介護する場面が増えた(30歳以下の男性介護者のフルタイム
 勤務割合が減少)
・既婚男性が自分の妻を介護する場面が増えた

●まとめ

家事・育児・介護時間、仕事時間の推移についてまとめてみました。
共働きの世帯は昔に比べて増えてきているものの、男性の仕事時間が減るわけではなく、
女性が仕事+家事・育児・介護をこなす状況に変わりはないようです。

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