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2015年3月26~29日に岡山県で開催された「日本農芸化学会」において、
愛媛大学の菅原卓也教授が「温州ミカン果皮配合ヨーグルトのアレルギー症状
緩和効果の検討」という演題で発表を行いました。
みかんの皮とヨーグルトを同時に摂取することで、
細胞から放出されるヒスタミンという成分を抑え、
花粉症状を軽減する効果が期待できると紹介されています。
●花粉症の発現メカニズム
スギ花粉などのアレルギー原因物質(アレルゲン)が鼻粘膜等に付着すると、
まずは免疫細胞が異物かどうか判断します。異物と判断されると、
それを外に出してしまおうと、ロイコトリエン(血管を拡張させる)や
ヒスタミン(知覚神経を刺激する)の放出を促す身体の反応が起こります。
これが「脱顆粒」です。
この反応が過剰に出てしまうと、鼻づまり(ロイコトリエンが原因)、
くしゃみ、鼻水、目のかゆみ(ヒスタミンが原因)が起き、
花粉症と認識されるのです。
●みかんの皮とヨーグルトはなぜ花粉症に効くの?
花粉症のアレルギー症状は、細胞からヒスタミンという成分が
放出されることによって起こります(脱顆粒)。
菅原教授は培養細胞で実験を行い、ノビレチンやβ‐ラクトグロブリンを
細胞に投与すると、この反応が抑制されることを確認していました。
なお、「ノビレチン」はシークワーサーやポンカン、温州ミカンなど
柑橘類の皮に含まれる成分で、抗炎症作用、脂肪蓄積抑制作用があることが
報告されています。花粉症対策に効果が見込まれるのは、抗炎症作用による
ものです。
また、「βラクトグロブリン」は牛乳に含まれるたんぱく質の一種で、
抗アレルギー作用があることがわかっています。
●研究の具体的な内容は?
菅原教授は、培養細胞やマウスでの結果をもとに、
ノビレチンとβラクトグロブリンを同時に摂取することで、
人でも効果が見込めることを明らかにしました。
実際に花粉症を持つ患者を対象として、花粉を点眼して調べたところ
がすごいですね。
>マウスを使った実験
スギ花粉を投与し、アレルギー症状を発症させたマウスに、
みかんの皮とヨーグルトを食べさせて、くしゃみの回数の変化を調査しました。
その結果、みかんの皮、ヨーグルトをそれぞれ食べたマウスでも
くしゃみの回数は減ったものの、両方を同時に食べたマウスで
劇的にくしゃみの回数が減ることが分かりました。
>人を使った実験
マウスで一定の効果が得られたことから、実際に人でも効果が得られるのか
実験を行いました。これが冒頭で紹介した学会発表の内容です。
対象者:スギ花粉症患者26名
試験方法:すり潰したミカンの皮を飲むタイプのヨーグルト(牛乳成分を含む)
150mLに混ぜ、それを1日1回飲む。
評価方法:2週間後、スギ花粉を両目に点眼し、30分後に表れた症状を観察する。
評価結果:ヨーグルトを飲み始める前と比較して、花粉を点眼して結膜炎を起こ
した場合に、目のかゆみなどの自覚症状が大きく低下した。
結膜炎の指標になる眼球表面の温度上昇も、飲む前に比べて約半分に抑えられた。
●みかんの皮入りヨーグルトの作り方
四国のスーパーでは、地元企業と愛媛大学の学生が開発した
みかんの皮入りヨーグルトが売られているようですが(年間約20万本の売上)、
全国展開はされていないようです。
従ってここでは菅原教授が紹介しているみかんの皮入りヨーグルトの作り方を
紹介します。花粉症対策としては、外出する30分前に食べるのがおすすめだそうです。
①みかんの皮を包丁で角切りにし、煮沸消毒した瓶に入れる。
②はちみつで満たし、蓋をして冷蔵庫に入れる。一晩おけば食べごろになるため、
これをヨーグルトにのせて食べる(2週間ほど保存可能)。
●まとめ
みかんの皮とヨーグルトが花粉症対策に有効という研究結果を紹介しました。
2つを同時に食べることがポイントになるようです。
なお、牛乳にアレルギーのある方は絶対に試さないようにしてください。
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